パチパチ

「おめでとう、碇君」

パチパチ

「おめでとう、碇」

パチパチ

「おめでとう、碇さん」

 

 何処かの最終回のような光景を見ながら、シンジはぐっと歯を食い縛った。

 恨んでない………といえば嘘になる。

 怒ってない………といえば大嘘になる。

 ぶん殴ってやりたくない………といえば世界一の大ボラ吹き野郎になる。

 つまり、恨んで、怒って、ぶん殴ってやりたいと思ってるのだが。

 

 とにかく、シンジは承諾してしまった原因事の元凶の両方に等しく視線を向ける。

 左目は前者の方に向かって若干恨めしく、右目は後者に向かって殺してやると明確な殺意を―――温度差を器用に使い分けていた。

 

「おめでとう、シンジ♪」

「おめでとうございます、先輩♪」

パチパチパチパチ

 

 どっちもまったく気付ず、同じ言葉を返してくれた。

 

 

 


 

『ボク』達二人の協奏曲
                        CONCERTO

 

第六話   ボクが泣いた理由ワケ

 


 

 

 

 床に散らばってしまった料理を片付け(一部無事な物は口にし)、引っくり返ったテーブルとソファを直し、銀髪の不法侵入男をベランダの手摺から蹴り落としてから、シンジはようやく落ち着いてソファへ座った。

 

「シオリ、怖かった? 帰ってくるのが遅くなってゴメンね。でも、僕が帰ってきたからにはもう大丈夫だよ」

 

 とりあえずシンジのする事は、愛するシオリの心のケアと謝罪からだ。

 傷ついているだろう妹に優しい言葉をかけ、慰める美味しい役は兄である自分しか出来ない―――もといやらせない、と少なくともシンジはそう思った。

 しかし、世の中そう上手く行くものではない。

 

「うん、遅かったね。一体何処でどう油を売ってたらこんな時間になるのかな?」

 

 シンジは後にこう語る。

 あの時の能面のようなシオリの笑みは一生忘れられない。絶対にあの笑みを浮かべたシオリに逆らっちゃ駄目だ、と。

 

「もう7時近くだよ? 何考えて生きてるのかな、ほんと。信じられないよね、妹がせっかく料理作って待ってるのにフラフラフラフラ遊び歩いて」

 シオリは自分の内側から、得体のしれないぐつぐつと煮えたぎるような感情が滲み出てくるのを感じていた。

 その癖、どこか頭の中がヒンヤリと冷え切って―――今なら目の前のシンジを地獄の業火で焼いたり、絶対零度の氷の中に閉じ込めたり出来るような気がした。錯覚だが。

 とにかく、こんな遅くまで帰ってこなかったのも気に入らないが………

「先輩、早く謝っちゃった方がいいですよ」

 後ろでのほほんとお茶を啜りながら、シンジにアドバイスする下級生が気に入らない。

 何で気に入らないかは自分でも判らないが、ひたすら気に入らなかった。

 

バンッ

 目の前にあったテーブルをなんとなく・・・・・叩いてみたのだが、何を勘違いしたのか即座にシンジがソファの上で正座する。

 気に入らない。それはボクに対する当てつけ・・・・だろうか?

 何故こんなにもボクが怒っているのに、シンジはそうふざけているんだろう?

 

 ―――今のシオリにとっては、シンジが息をする動作でさえ腹立たしかった。

 

「い、いや、ほら、シオリも知ってるだろ? 委員会で、その……そう、こいつ! こいつが僕を無理矢理―――!」

 その瞬間シンジが犯した失策は、概ね二つだ。

 まず一つ、シオリが怒っている時、シンジはまず謝る。

 例えそれが正当な理由でもグダグダ言い訳などせず、黙って地面に頭を擦り付ける………という古代からの不変の法則を知らなかった。

 二つ、責任を押し付けるにしても、女子生徒の存在には触れるべきではなかった。

 つまり、

「……………(にっこり)」

 

 シンジは後にこう語る。

 あの時のシオリの笑顔は、能面が180度引っ繰り返って般若になったかのようだった、と。

 

 

 

 

 

「む〜………」

ごろごろ

「はうぅ………」

ごろごろ

「………」

ごろご…ピタ

 

 ベットの上で枕を抱えて転がっていたシオリは、ピタリと動きを止めた。

 シンジに非が無いのは判っている。うん、きっと無い。たぶん無い。おそらく、無い。

 ……ちょっとはあったかもしれないが、とにかく今回は自分が悪かった。

 でも、面白くなかった。気に入らなかった。

 理屈じゃ、ないのだ。

 

「はあ………ボク、どうしちゃったんだろう……?」

 

 前は………まだ男でシンジだった頃は、こんな気持ちを抱いた事なかった。

 アスカに散々鈍感だの鈍いだの馬鹿シンジだの扱き下ろされて、でも笑ってたあの日々。

 赤い海から帰ってきて……辿り着いたこの場所。

 『シンジ』の……妹という場所……。

 今のボクの居場所。

 

「ボクは……ここにいても、いいのかな……?」

 

 何故か無性に寂しくて、シオリは抱き枕をぎゅっと胸に抱え込んだ。

 

 

 

 

 

 女子生徒は兄が拘っていてシスコン、妹の方は仲が良いものの普通で引き気味と予想していた。

 当初はそれを利用して、兄から少しでも離れる時間を作るのを協力する―――という名目で口車に乗せる予定だったのだが。

 が、昨日の出来事で、妹もブラコンと頭の中のプロフィールファイルを修正した。

 と言う訳で、昨日今日と嫉妬を煽るようにした結果、これである。

 

「シンジ、生徒会長頑張ってね♪」

「そ、そんな……シオリ〜」

「先輩、生徒会長の職務頑張ってくださいね♪」

「ぐっ……全部お前の所為だーーー!!」

「ふ〜ん、『お前』だなんて……ずいぶん仲いいんだ?」

「ち、違うーーー! 誤解だ、シオリーーー!!」

 

 楽しい。いや、かなり。

 女子生徒はにんまりと笑った。

 実に明解な―――本人たちにとっては複雑な問題なのだろうが―――理由で喧嘩を繰り広げる兄妹に、下級生である女子生徒は声を上げずに表情だけで笑った。

 シンジは泣いてシオリに縋り付いているから気付かないだろうし、シオリの方も縋り付かれてるのを引き剥がすのに必死でとてもじゃないがこちらに視線を向ける余裕は無い。

 ので、表情だけで笑うぶんには何の問題も無い。

 

 まあ、先ほど碇先輩の怒り(ギャグじゃないですよ? 念のため)を買って副会長に任命されてしまったが、大丈夫、こっちも問題ないモーマンタイ

 むしろ、碇先輩と接触する機会が増えて嬉しいような気がする。

 ………にへら。

 女子生徒の相好が先ほどと違う理由で思わず崩れた。

 

 

 

 

「うう、シオリ〜」

「先輩。まだやることはたくさんあるんですから」

「し〜お〜り〜」

「呻き始めてから30分です。その30分を真面目に費やしたら10%は終わりますよ?」

「シ゛オ゛リ゛〜〜〜」

「はいはい、泣いても駄目ですよー」

「「「「鬼だ……」」」」

 ここ数ヶ月全く使われていなかった一室、つまり『生徒会室』でその会話は交わされていた。

 結局、生徒会は会長碇シンジを筆頭に、選挙管理委員会のメンバーがスライドする形で構成される事となった。

 ちなみに立候補者が一人しかいないという事で選挙はショートカットされた。

「早く終わらせて帰らないと、妹さん怒るでしょうね〜」

「う゛っ……」

 女子生徒の言葉に思わず固まるシンジ。

 もちろん、その頭の中を過ぎるのは昨夜の怒り狂ったシオリ。

「昨日あんだけ怒ってたのに、今日もまた帰るのが遅くなったら………」

「だーーーーっ!! やってやるっ! さっさと終わらして帰」

ドンッ!

 待ってましたと言わんばかりに、シンジの目の前のテーブルに紙束の塔が積み上げられる。

 女子生徒はニコニコと笑いながら、シンジの対面でその存在感をアピールしていた。

 

 ―――その資料の山、今どこから出した?

 

 シンジ以外の生徒会メンバーは、揃ってそう思った。

「じゃ、先輩頑張りましょう♪」

「……………ま、負けるかぁぁぁ!!」

 ちょっと弱気だった。

 

 

 

 

 

「シンジのばかシンジのばかシンジのばか……」

 ブツブツと呟きながら不機嫌に歩くのは、通学鞄を両手でひしっと抱えているシオリ。

 『昔』使っていた肩掛け鞄ではなく、普通の黒い手提げ鞄だがもう慣れた……筈だった。

 けど今はなんだかずっしり重く感じる気がして、億劫だった。

 もしかしたら、女になったのが原因かもしれない―――鞄が重いのも、気持ちが重いのも。

「やっぱり……男の方が良いよ……」

 

 そうすれば、悩んだりしない。

 そうすれば、イラついたりしない。

 うん、きっとそうだ。

 きっと女は理由無くムシャクシャするもんなんだ。

 アスカもそうだったし。

 

 著しく勘違いな思考を巡らして、シオリは自分の考えに納得した。

 もとい、無理矢理にでも自分を納得させた。

「最近は女でもいいかな、なんて考え始めてたけど……馬鹿だよね。ボクは男なんだから」 

 

 そう、こんな貧弱な身体、うっとおしいだけ。

 胸だって……あんまりないし。

 ………じゃなくて。

 

 すぐ脇に逸れがちの思考を戻しながら、シオリは考え続ける。

 時折考えが口に出て道ですれ違ったサラリーマンや学生が勢い良く振り向いたりしたが、シオリは全く気付かない。

(※ 声に漏れた例。『男の方が良い』『女でも〜〜いいかなって』『胸だってあんまりない』)

 そして、そんな事を考えている内に、シオリの思考はある結論に行き着いていた。

 

 ………カヲル君なら、ボクを戻せるかもしれない。

 

 

 

 

 

「先輩、3年の学年主任から『消火器を各教室に一つずつ設置してくれ』との事です。理由は火事の避難訓練時の対処が不足気味で―――」

却下だっ! 火ぐらい踏み消せる!」 

「はい、却下します。次は美化委員会からモップ10本、雑巾20枚要望で―――」

床は舌で舐めて綺麗にしろと伝えろっ!!

了解しました。匿名希望で生徒からも要望が―――」

匿名は全て却下だ! 掲示板でそう知らせとけっ!!

「後日、校舎内全ての連絡掲示板に張り出し、全委員会にも通達しておきますね」

 電光石火の勢いで処理されていく生徒会に持ち込まれた案件。

 女子生徒が読み上げ、シンジが判断を下す―――もちろん全て却下だが―――というコンビネーションで高々と積み上げられていた紙束は既に半分に減っていた。

 周りの生徒会メンバーはその内容に戦慄しつつも、口を挟む勇気も無くただ成り行きを見守っていた。

 というか、何故消火器や委員会云々の要望まで生徒会が処理しなくてはいけないのだろうか?

 それ以前に、生徒会長一人で全部決めていいのだろうか?

「あ、これは匿名じゃないですね。2−A学級委員長の洞木ヒカリさんです。『冷房の効きすぎて風邪を引いてしまいそうなので、もう少し設定温度を上げてください』との事です」

「む………承認2−Aの生徒が一人でも風邪を引いたら、即座に首が飛ぶと思えと担当の者に伝えろ

「わかりました。書記さん、職員室に行ってきて下さい。生徒会の名前を出せば逆らえませんから安心してください」

「う、うぃーっす」

 極稀に明らかな公私混同による承認などを出しながら、無事に作業は進んでいた。

 ―――ツッコミ所が多すぎて、逆に何処から突っ込んだら良いか分からなかった。

 

 

 

 

 

「カヲル君!」

 空き地でテントを張って夕食の準備をしていたカヲルは、突然の呼び声に顔を振り仰いだ。

 そこには顔を伏せ、肩で大きく息をするシオリ―――おそらく、カヲルを探して走り回っていたのだろう。

 カヲルは鍋(雑草をお湯で煮ているだけ)を掻き回すお玉を止め、歓喜の表情を浮かべた。

「シオリさん!? ………ああ、昨日の事は気にしなくていいんだよ。シンジ君もいずれ僕達の関係を認めてくれる筈さっ」

「ボクを………ボクをっ、男に戻してっ!」

 両手を広げて、自分の胸に飛び込んでくる(筈の)シオリを待ち受けるカヲルだったが、返って来たのは唐突な台詞だった。

 少々―――という割には二人の背後を幼児が横切っていくほど固まっていたが、カヲルは自分なりに事態を推測しようと試みた。

 

 まず、シオリの態度、突然『男に戻して』との言動。

 息も取り乱し、明らかに興奮気味のその態度。

 そして、微かに潤んだ瞳。

 

「つまり、男同士の方が良いって事なんだね、シオリさん。でも、落ち着くんだ。いやいや、僕としてはそちらでも構わないのだけれど、子を成すにはやはり男と女の方が―――」

「ふざけないでよっ!」

 カヲルの戯言はシオリの怒気混じりの絶叫に遮られる。

 人の言葉を聞く余裕なんて、とうにシオリの中から消え去っていたのだ。

 揺れる感情はシオリから冷静さを奪う。

 ずっと溜めていた―――心に閉じ込めていた感情きもちを、全てぶちまけた。

 

 

 

「違うんだよっ! ボクはこんなの望んでなかった! 女になんかなりたくなかった!」

 

 判らない、分からない、解らない。

 自分の気持ちがわからない。

 自分がどうしたらいいのか、どうしたいのか、全部、全部、わからない。

 ただ、こうありたいと願っただけの筈なのに。

 どうしてこうなるのか、わからない。

 もう今では、なぜ願ったのかも、理解できないわからない

 

「ボクはただ、みんなともう一度会いたかった! 独りになりたくなかっただけなんだ! シンジと……一緒にいたかっただけなんだよぉっ!」

 胸元のシャツを両手で掻き毟り、ブチブチといくつものボタンが弾け飛ぶ。

 目からは、今まで耐えていた涙が、零れ落ちた。

 

 嫌だった。シンジの横に自分以外の誰かが並ぶのは。

 嫌だった。そんな事を、独占しようなんて事を考える自分が。

 父さんのように、母さんを追い求めるだけの人間になんて、なりたくなかったんだ。

 でも、ボクはシンジと一緒に居たい。

 

 矛盾する想い、心。

 矛盾する想いは、心をじわりじわりと壊していった。

 そして、心の壊れる痛みに耐えられなくなったシオリは―――

 

「だから、ボクを男に戻してよっ! そうすれば、こんな感情きもち無くなるんだ―――!」

 

 想いの一つを捨てる事で、心の平穏を取り戻そうとしていた。

 

 

 

「……判ったよ、シオリさん」

 相も変わらずのアカルスティックスマイルを浮かべたまま、カヲルは頷いた。

 元より、彼にシオリを―――シンジを苦しめるつもりはなかった。

 ただ、自分と幸せになって欲しかっただけなのだ。

 カヲルはシオリの涙を指で拭うと、すっと手を上げてにっこり―――いつもの笑みではなく、柔らかな優しさを感じさせる笑みで―――微笑んだ。

「いいんだね、シンジ君・・・・?」

ポッ

 カヲルのかざした手が赤く、光を灯す。

 ATフィールド、心の壁、人の形を表す光。

「……うん」

「これから、シンジ君は眠る……大丈夫、リリンの在るべき形を少し弄くるだけ。何も心配しないで、僕に全てを委ねて眠るといい」

「…………う、ん」

 カヲルの手が、シオリの額に触れる。

 指から赤い光がシオリに伝わっていき、やがて身体全体をすっぽり覆いつくした。

「君の心は繊細だね。まるでガラスのようだ」

「……………」

「だけど、だからこそ、美しい。好意に値するよ」

 その言葉を聴きながら、シオリの視界が霞んでいく。

 ゆっくり、ゆっくり、意識は暗闇に沈んでいく。

 

 

 

「好きってこ「てめえ、一度ならず二度までもーーーーー!!!」

ドゴシュッ

 

 

 

 人体から発せられたとは信じられない音を出して、シオリの目の前からカヲルが消えた。

 否、すっ飛んでいった。

 ごろんごろんごろんごろゴチンとたっぷり地面を三回転半し、塀にぶち当たって止まる。

 最後の非常に痛そうな音から察するに、頭をブロック塀に強打したようだ。

 呆然と―――本当に何も考えられず、呆然とそれを見送ったシオリは、

 

「シオリーーー!! あいつに何された!? くそっ、呆けてる……ちくしょう、ぶっ殺してやるーーー!」

 

 身も蓋もないシンジに、頭痛を感じて地面に倒れこんだ。

 ……なんだか、全てが馬鹿馬鹿しくなった。

 

 

 

 

 

「ごめん、シオリ!」

「……もう、いいよ」

 パンッと両手を合わせて拝むシンジに、シオリが視線を逸らしたまま溜息を付く。

 元々、シンジが悪いなどと言った覚えも思った覚えもない。

 それどころか自分の中の良く分からない感情きもちに振り回され、逆に迷惑を掛けてしまったぐらいなのだから。

 むしろ、謝らなくてはいけないのは……。

「まさか、僕のいない間にあんな変態が襲ってくるなんて………やっぱり今から戻ってトドメを刺した方が」

「だ、だから、それはいいのっ!」

 今すぐにでも空き地へ取って返そうとするシンジに、思考を中断して慌てて止めるシオリ。

 ちなみに、カヲルはシンジに殴られた上、ボロクズのように放置されている。

 トドメを刺されなかったのは、シオリが止めたからに過ぎない。

 おそらく、次にシンジと目が合った瞬間が彼の最後だろう。

 本人の希望とは違うが、シオリにしか興味がない(というか記憶にも残さない)シンジの脳裏に強く顔を焼き付けられたカヲルだった。

 

「はあぁぁぁ………」

 シオリは大きく大きく息を吐いた。

(なんで、こう………暴走気味かな………。

 心配してくれるのは……………嬉しいけどさ)

 シオリと仲直りできた事による上機嫌と、変態の魔の手にさらしてしまった事による屈辱感に、複雑な表情を浮かべるシンジの横顔を眺める。

 

 過去の自分、現在の兄―――そして、未来の―――

 

「……未来の、なんだろうな」

「は? 未来がどうかした?」

「ううん、なんでもない。それより、早く買い物して帰ろっ♪ 今日はシンジの好きな物にしてあげるから♪」

「本当!? それじゃあ……シオリかなぁ」

「は、はうっ、何言ってるんだよっ!?」

 

 

 双子の兄妹は、仲睦まじくじゃれ合いながら商店街へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ……さすがにそりゃないと思うよ、シオリさん………(がくっ)」

 空き地でボロクズが呻いて力尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 某旧住宅地、マンション。

「こいこいこい………来たぁぁぁっ!! フルハウスッ!」

「(ぱさっ)ロイヤルストレートフラッシュ」

「うきゃあああああ!! なんでぇぇぇぇ!?」

「次は肩でも揉んで」

「くぅぅぅぅ!! 絶対にアンタを真っ裸にしてやるんだからっ!!」

 

 真っ裸の赤毛の少女は、白子アルビノの少女の肩を揉みながら声のあらん限り叫んだ。

 脱ぐものが無くなったので、負けるたびに命令されているらしい。

 昨夜から続けているのに白子アルビノの少女は靴下を片方しか脱いでいない。

 先は果てしなく長かった。

 

 ちなみに、マンションの外にいたサキエルが既に移動している事には両名とも気づいていなかったりする。

 

 

 

 

 

 某特務機関地下本部。

「エントリー開始します」

「いいわね。余計なことは考えないでシンクロに集中するのよ」

よかないわぁぁぁぁ!! なんであたしが零号機に乗せられてるのよっ、リツコ!

「愚問ね、ミサト。チルドレンがいない、つまりあなたしか代わりはいないでしょう?」

「そうです、葛城さん。当たり前じゃないですか」

実験開始スタート

「第一次接続開始……おそらく繋がりました。LCLビール注入開始、葛城さん飲み干してください」

「うふふ、良かったわね、ミサト。これでシンクロ率もうなぎ登りね」

「あ、あんたら実は寝不足でマトモに頭回ってないでしょーー!?」

 

 その通りだった。

 

 

 

 


次回予告

『シンジ、あーん♪』

『あーん♪』

 前回から一転、一層ラブラブ度を増す兄妹。

『……あーん』

『アンタ、一体何考えてんのよっ!?』

 何故か対抗してラブラブになる赤と青の少女。

『す、鈴原、私達も……』

『『L・O・V・E! らぶりぃサキエル!』』

『……もう、駄目なのね』

 不幸ないいんちょと果て無き道を疾走する馬鹿コンビ。

『問題無い』

『問題無いわけあるかっ、馬鹿者!』

 それを監視する髭親父&電柱爺。

 

 

 数々の思惑が交錯する2−Aに、今最大の事件が起こる!

 

 

次回! 『らぶらぶの明日のために その1』

お楽しみに〜

(この次回予告はあくまでフィクションで、本編とはなんら関係ありません)

 

感想、要望、質問、何でもいいのでメール待って魔巣♪

 


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