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お小遣いの使い方


 

>シンジ

「はい、今月のお小遣い」

「わーいっ♪ ありがと、おにいちゃんっ♪」

 僕から封筒に入れたお小遣いを受け取ったサキは跳ねる様にして(実際跳ねているが)リビングを駆け回る。

「これがミユウの分、こっちが綾波の分ね」

「シンジ君、ありがと♪」

「………ありがとう」

 ミユウと綾波も頬を少し緩ませながら受け取る。

「で、最後にマナの分」

「さんきゅー、ですっ♪」

 マナも受け取るとサキの様にはしゃぎだす。

「アタシの分は?」

 そんな様子を見ていたアスカは手のひらをこちらに差し出す。

「………アスカは自分の給料があるだろ?」

「アタシの給料には制限が掛かってて毎月決まった金額しか出せないのよ」

「でもそれって確か………5万近く引き出せたんじゃなかったっけ?」

「女は毎月10万は使うのよ」

「そんなに使わないよ、いくらなんでも」

 僕が苦笑しながらそう言うと、ダメ元で言っていたアスカはあっさりと諦める。

「ま、それはいいとして。アンタ、こいつらに一体どれだけあげてるわけ?」

「毎月2万だよ」

「………アンタも大概甘いわね。中学生の小遣い、普通は高くても一万よ?」

 呆れた顔をしたアスカ。

 でも、どことなく『しょうがないわね』という顔で納得している。

「さっきと言ってる事が違うんだけど」

「そりゃ、アタシはもう大人の女ですからね〜」

 胸を張りながらアスカはのたまう。

 

 

「「「「……………」」」」

 

 

 そんなアスカを―――というより、アスカのを―――ジト目で見つめるミユウ達。

 

 

 ………(汗)

「そ、そんなことよりね………」

 ゴホンとひとつ咳をして、話題を変える。

「みんな、さっきあげたお小遣いは無駄遣いしちゃダメだよ。特にサキとマナ

 ビクンと二人揃って体を震わす。

 マナはそっぽを向き、口笛を吹き始める。

「聞こえない〜〜〜♪ ボクは何にも聞いてないも〜〜〜ん♪」

 サキに至っては耳を両手で塞いで聞こえないフリ

 

むに〜

 

「おにいちゃん、痛いよ〜〜(泣)」

 サキの頬っぺたを引っ張りながら僕は言葉を続ける。

「学校の帰りに無差別に買い食いしたり、 ケンスケが喜びそうなおもちゃを衝動買いしないように。 わかったね、特にサキあんどマナ

「「うう〜」」

 さすがにへこむサキとマナ。

 でも、この二人に関しては妥協しちゃダメだ。

 二人とも非常に前向きな性格をしているので、半端な注意では次の日にはスコンッと忘れてくれる。

「誰とは言わないけど、先月みたいに途中でお小遣いを使い切ったからって臨時のお小遣いは上げないからね。 特にそこのサキマナ

 

「「………はい」」

 

 よしっ、撃沈。(笑)

「そういえばさ、シンジ君は自分のお小遣い何に使ってるの?」

「え、僕?」

「うん。たまに私たちに何か奢ってくれる時以外、シンジ君がお小遣い使ってるの見たこと無いし」

「………私も見たこと無い」

「ん〜………たまに本を買うぐらいかな」

 

「「えー!?」」

 

 僕の答えに驚きの声を上げるサキマナ。

「おにいちゃん、学校の帰りに突然お菓子食べたくなる事ないの!?」

「それはサキだろ」

「貴重なお小遣いを本なんかで浪費するなんて、人生を放棄してる!?」

「いや、別に本買ったっていいじゃないか。それにお小遣いぐらいで人生左右されないと思うけど(汗)」

 サキとマナは自分の基準でしか考えられないようだ。

「このバカ二人はともかく………実際の所アンタ本しか買わないわけ?」

 アスカの質問に僕は先日買った物を思い出した。

「あ………そういえば、アレ買ったな」

「「「「「アレ?」」」」」

 

 

 

 

「乾燥機」

 

 

 

 

 ………なんでみんな揃って、テーブルに突っ伏すんだよ?

 

シンジ「目次へ戻るからね」



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