前だけを… ショートショート

 

こどもじゃないもん


 

>アスカ

「あははっ♪ へんなの〜♪」

「アンタってつくづく子供ね………」

 絨毯に寝転んで、マンガを笑いながら読んでいるサキを見て、アタシは思わず口から漏らした。

「む〜、ボク子供じゃないもんっ!」

「何処がよ?」

 足をプラプラさせながら、楽しそうにマンガを読んでいる姿は間違いなく子供だった。

「ボク、あすかと同じ14才だもんっ!」

「………その胸と身長で?」

「がーんっ!」

 わざわざ声に出しながら、ショックを受けるサキ。

「そ、そのうち、おっきくなるもんっ!」

「14才にもなって、そこまでツルペタじゃ望み薄よね〜」

「ががーんっ!」

「ま、胸と身長はともかく……………」

「何度も言わなひで………」

 あ、さすがのサキも堪えてるわね。

 苛めるのはこれぐらいにしましょうか。

「子供じゃないっていうなら、マンガじゃなくてこれぐらい読みなさいよね」

 今読んでいた雑誌をぴらぴらと振りながら、サキに視線を送る。

「それ、何?」

「アンタ、バカァ? 雑誌よ、ファッション雑誌」

「ふぁっしょんざっし?」

「全部ひらがなで言うんじゃないわよ」

「あすかのテストと一緒だねっ♪」

 

ぽくっ

 

「痛い〜、なにするんだよ〜(泣)」

「余計な事抜かすからよ」

「う〜」

 涙ぐみながら恨めしそうな目で睨んでくるサキ。

「ほら、そこにある雑誌貸してあげるから睨まないでよ」

「う〜」

「それを読んで、大人の女になればシンジなんてイチコロよ?」

「え、ほんと?」

 サキはころっと態度を変えると、4・5冊の雑誌を引っつかんで自分の部屋に駆け込んでいった。

「あーちゃん、ありがとー♪」

「あーちゃんって呼ぶな!(怒)」

 まったく調子いいんだから……………。

 アタシはそんな事を思いつつも、『こうやって同い年の友達と話すのっていいわね』なんて喜んでいた。

 

 

 

 次の日。

「あすかーーーーーーー!!」

「な、なによ?」

 リビングでサキのマンガを読んでいたアタシは、後ろ手でマンガをクッションの下に隠しつつ振り向いた。

「この本、嘘つきだよっ!」

「はぁ? 嘘つき?」

「この本に書いてあった通り、おにいちゃんのベットに潜り込んで、朝起きた時に 『責任とってね』って言ったのに、おにいちゃんボクの物にならなかったよっ!」

「な、何読んでんのよっ! この馬鹿っ!」

 

ぱこんっ

 

アスカ「さっさと目次に戻りなさいよ」



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