>ミユウ
「くぬっ! このぉ!!」
「ふっふ〜ん♪ そんなの当たんないよ〜♪」
「このちょこまかと………って、ああっ!?」
バコォォォン
『K・O!』
「やったぁ♪ ボクの勝ち〜♪」
「むきぃぃぃ!! なんで勝てないのよっ!!」
え? 何してるかって?
見ての通りテレビゲームよ。
昨日、私達五人(私、サキちゃん、レイ、アスカ、マナ)でテレビゲームを共同でお金を出しあって買ったの。
で、まあ、昨日からずっと同時に買った格闘ゲームをやっている訳だけど………。
「これでボク、60連勝だね〜♪」
「まぐれよっ!まぐれっ!!」
意外というかなんというか、一番上手いのはサキちゃんだったりする。
動体視力が良いからかな………?
「………次は私」
「ファースト!! 負けんじゃないわよ!!」
ボロボロにされたアスカがレイに向かって叫ぶ。
いや……昨日から誰もサキちゃんに勝ってないし、無理だと思う。
『レディ ファイト!』
画面ではサキちゃんの操作している女の子のキャラがレイの操るごついプロレスラーの攻撃を的確にガード、もしくは避けている。
「サキって意外に器用よね〜。普段あんなにドジばっかりなのに」
マナがぽてちをかじりながら、感想を漏らす。
「あはは………(汗) けど、サキちゃんさっきからず〜っとやってるよね」
『負けたら交代』というルールの所為でサキちゃんはゲームを交代無しでずっと続けている。
「まったく誰よ、勝ち抜き戦にしようなんて言ったのは」
「「アスカよ」」
「うぐっ」
無責任なアスカのセリフに私とマナの冷たい突っ込みが炸裂する。
「みんな、まだやってたの?」
後ろから聞こえてきた声に振り向くと、シンジ君が呆れた顔で立っていた。
「朝からずっとやってるんだから、少しは休憩しなよ。目を悪くするよ?」
「なによ〜、アタシ達の勝手でしょ〜」
ごろんと絨毯に寝そべるアスカ。
「駄目だよ。眼鏡の世話になんかなりたくないだろ?」
「ああっ! こら、シンジ! 電源切らないでっ!」
問答無用とばかりに電源を切ろうとするシンジ君に、アスカは慌てて足にすがりつく。
『K・O!』
「うぃん〜♪」
「………まけた」
どうやら、ゲームの方はまた、サキちゃんに軍配が上がったらしい。
それを見ていたアスカがにやりと笑う。
「シンジ………あんたがサキに勝ったらやめても良いわよ〜?」
「え?」
「ちょ、ちょっとそれ反則じゃむぐっ!」
アスカは止めようとした私の口を無理矢理ふさいで続ける。
「どう?」
「…………勝ったら、大人しく止める?」
「ええ、いいわよ。そのかわり、サキが勝ったら好きなだけやらせて貰うのと、今日の夕食はハンバーグよ」
ああ………、アスカってば、卑怯者ね。
「わかった」
シンジ君はアスカの要求を簡単に呑む。
きっと、サキちゃんの事侮ってるんだろうな〜………普段が普段だし。
『K・O! パーフェクト!!』
決着はあっさり着いた。
「う〜(泣)」
「はい、これで今日はもうおしまいね」
シンジ君はサキちゃんから簡単にパーフェクト勝ちを奪って去っていった。
「「「「……………」」」」
「う〜、ボクの連勝記録61ですとっぷだよ〜(泣)」