>第壱中学・校舎裏
「あ、綾波さんっ!オレと付き合ってください!」
「………何処へ?」
校舎裏に一人の男子生徒に呼び出され、いきなりの告白に、レイはあまり理解できなかった。
「ど、何処へって、そういうことじゃなくて俺の恋人になってくださいっていう意味で…」
「嫌」
0,2秒。
あまりの速い答えに男子生徒はがくぅっと座りこんだ。
「………それじゃ」
「ま、待ってくれ、綾波さん!オレの告白を断るのは、碇と付き合っているからなのかっ!?」
さっさと教室に帰ろうとするレイに男子生徒はそう叫んだ。
「………?」
「そ、そうか!いくらあのプレイボーイとして名高い碇でも、綾波さんとはまったくの他人なんだなっ!?」
レイの反応の薄さに男子生徒は心底、安堵した。
が――――
「碇君は他人じゃないわ」
「う、う、う、嘘だぁぁぁぁぁぁっ!!」
男子生徒は力の限り叫びながら、ダッシュで去っていった。
「碇君は家族だもの」
続けて言ったレイのこの言葉は男子生徒に届かなかった。
プレイボーイ碇シンジの名は、さらに高まる事となった。