>サキ
ボキィ
「う〜、また折れたよ〜(泣)」
ボクは二つに折れたお箸を手に涙した。
「ほら、サキ。もう一回、頑張って」
おにいちゃんが次のお箸をボクに差し出しながら言ってくる。(ちなみに通産82膳目の箸)
「う、うん………」
ボクは新しいお箸を構え、強敵―――皿の上の豆と相対した。
箸を緑色の豆(枝豆)に伸ばす。
プルプル
ボキィ
「あうっ(泣)」
「おにいちゃ〜ん、このれんしゅー難しいよ〜(泣)」
「う〜ん、でもサキ、やっぱり力加減が上手く出来なきゃ困るだろ?」
「おにいちゃんっ!ボク頑張るっ!」
ボクはぐぐっと手を『ぐー』にした。
(……………でも、どうすれば良いんだろ?)
ボクは緑色の豆(しつこいけど枝豆)をじっと見つめる。
(このお豆さんにスキはない………
ボクが掴もうとすると逃げるし………
それを頑張って追いかけるとお箸折れちゃうんだよね………)
ボクと緑色の豆(くどいようだけど枝豆)は、互いのスキを伺うように睨み合っている(様な気がする)。
(……………そうだっ!!)
「見切ったよっ!」
サクッ
「……………やった。ついにボクはやったんだ。おにいちゃんっ!ボク、勝ったんだよっ!」
「………サキ」
「な〜に?おにいちゃん♪」
「もう一回やり直し」
「な、なんでぇっ!?」
「……………力加減の練習なんだよ?
力任せに箸を豆に突き刺してどうするの?」
「う〜(泣)」
続く?