前だけを…

 

没案


 

没1

>シンジ

「シンジ君………説明してもらえるかしら。」

 ここはリツコさんの研究室。

 第五使徒との戦いの後、僕はリツコさんに呼び出されていた。

「え………説明って、何をですか?」

「さっきの戦闘よ!ごまかせるとは思わないことね………。」

 リツコさん、目が怖い。

「さっきの戦闘………?ああ、ATフィールドの事ですか?」

(そういえば、派手にやっちゃったもんな………。)

「シンクロ率の上昇、ATフィールドの攻撃への転用………一体、どう言う事かしら?」

「どういうことって………シンクロ率の方は知りませんけど、ATフィールドは防御で使うと あんなに強力なんだから攻撃にも使えると思って咄嗟に………。」

「それで私に納得しろと……………?」

 リツコさんは疑い100%の目で見てくる。

(うう、この事に関しては本当なのに………………。やっぱり、ミユウやサキの 戸籍の事とか疑わしい事ばっかやってるからかな。)

「だって、本当の事ですし……………」

「………………まあ、いいわ。喋る気がないならこの件は終わりにしましょう。」

 

「その代わり、明日からたっぷり実験に付き合ってもらうわよ………。」

 ニヤリと父さんのような笑みを浮かべながらそう言う。

「じ、実験ですかっ!?」

「ええ、そうよ。あなたにもシンクロ率の上昇の原因分からないんでしょ? だったら、断る理由はないわよね。」

 その時、リツコさんの目が光った様な気がした。

「じ、実験って……………改造とかされないですよね?」

「何故そうなるのよ?…………まあ、やってほしいというなら100Mを2秒で走れるようにしてあげても………」

「結構です!!」

「冗談よ。」

 嘘だ。目が本気だったよ。

「………所でリツコさん、ミサトさんは?」

「ミサトなら、無茶な作戦を押しきった責任を取っているわ。」

「へ?」

「今頃、抗議文の量に呆然としているでしょうね。」

(※ 没になった第6,5話『戦い、終わり・・・』より)

 

 

 

没2

チュッ

「サ、サキッ!?」

 !

 サキは首に手を回してぶら下がった姿勢のまま、碇君の頬に口付けをした。

「おはよ〜のキスだよ〜♪」

「………………サキ、離れて。」

カッ

ドスンッ

「うにゃぁっ!!」

 サキは碇君との間に突如現れた六角形の赤い光に弾き飛ばされた。

「何するんだよ、レイッ!!」

「……………天の裁き。」

「レイッ!」

 サキは消えたと思うほどのスピードで私との距離をゼロにした。

「えいっ!!」

ガギィィンッ!

 サキの伸ばした腕を私のATフィールドが妨げる。

「負けないもんっ!」

ググッ

「!?」

「ええーいっ!」

ググググググッ

 サキは両手をATフィールドに突っ込みこじ開けて行く。

「……………侵食や中和ではなく、完全な力任せ!?」

「ふ〜んだっ!レイなんか嫌いだも〜ん!!」

「………わ「二人ともいい加減にしなよっ!!」

ビクッ

 突如私達のケンカに割って入った碇君の怒声に私とサキは震え上がった。

「「碇君(おにいちゃん)………?」」

「綾波!!ATフィールドは使っちゃダメって言っただろ!!」

「ご、ごめんなさい」

「サキ!!本気で殴りかかるなんてダメじゃないか!!下手したら怪我じゃ済まないんだぞっ!!」

「お、おにいちゃ……ご、ごめんなさい……」

 碇君は本気で怒っている。

「「ごめんなさい………もうしません………」」

「………もう絶対やっちゃダメだよ?」

「「はい………」」

(※ 特別編その1『碇家の日常』より)

 

 

 

没3

 授業中。

「ね〜ね〜おなかすいたよ〜。」

 サキが僕の服の裾を引っ張ってくる。

「サキ、授業中だよ。今は授業に集中して。」

「でも〜、あの先生同じ話ばっかで飽きちゃったんだもん。」

「うっ………確かに。」

 現在ニ時間目。教卓に立っているのはこのクラスの担任のかなり年のいった老教師なのだが、 話す話はいつも『セカンドインパクト』の話なのだ。

「え〜、20世紀の最後の年、巨大隕石が南極に衝突し………」

 転校してきて既に10回はこの話を聞かされている。

 これではサキでなくても飽きる。

 現にクラス中のほとんどの者が、聞かずにおしゃべりをしている。

「はあ………確かに退屈だけど、いくらなんでも授業中に食べるわけにはいかないだろ?」

「そうだけど〜

(※ 特別編その1『碇家の日常』より)

 

 

 

没3

>第壱中学・屋上

「あの、おにいちゃん………大丈夫?」

「………大丈夫だよ。」

 少しも大丈夫そうではない口調でシンジはサキに言い返す。

 シンジの明らかに無理をしている声にサキは落ちこむ。

 シンジは頭に包帯を巻き、体中にバンソーコーを貼っている。

 階段を昇っている途中でシンジが体中から血を流してぐったりしているのにサキは気付いたのだが、 さらにそこでビックリして手を離してしまいシンジは階段から転げ落ちる羽目になってしまった。

 さすがのシンジにもこれは笑って許せなかった。

「もうっ!!サキちゃん、もうちょっと物事を考えてから行動してよねっ!」

「ごめんなさい………」

 さらに不機嫌なミユウにまで突っ込まれてさらにサキはさらに落ちこんだ。

 ミユウまで不機嫌な理由はもちろん、シンジに怪我をさせたというのもあるが、 一番の理由は今朝のフライングボディアタックかもしれない。

「サキ、気にしないで良いよ………わざとじゃなかったんだから。」

(※ 特別編その1『碇家の日常』より)

 

 

没4

>アスカ

 信じらんない!!

 こんな情けないのがこのあたしと同じチルドレンなんて!!

「君は碇シンジ君だね。」

「どうして、僕の名前を知っているんですか?」

 食堂にあたし、加持さん、ミサト、サードにサードの関係者の二人がテーブルについていた。

 食堂に着いてから加持さんはサードに話しかけている。

「そりゃあ知っているさ。エヴァを実戦で動かし、既に2体の使徒を一人で倒したサードチルドレン。 この世界じゃ君は有名だからね。」

「………まぐれですよ。」

「運も実力の内さ………。君の才能なんだよ。」

「そうですか。」

 サードは加持さんの言葉に曖昧な言葉しか返さない。

(暗い奴!!なんでこんな奴がサードなのよっ!!)

「さて、俺は外の空気でも吸ってくるかな。」

「あ、加持さん!」

(※ 第八話『アスカ、来日』より)

 

 

 

没5

「はあはあ、レ、レイ、次は?」

 野菜を一口大に切って炒める。

 これだけの作業の内に食材の約3分の1が廃棄処分になっていた。

「『A水を加え、沸騰したらあくを取り、材料が柔らかくなるまで弱火〜中火で 煮込みます。』」

「水?どれくらいいれれば良いの?」

「1400ml。」

ドボドボ

 私は鍋に水道の蛇口から、水を入れた。

「だいたい、これぐらいかな?」

「次は弱火〜中火だよねっ?」

カチッ

ボォォォォ

 サキちゃんは火をつけて、火の強さを弱火と中火の中間にする。

「レイ、次は?」

「『Bいったん火を止め、ルウを割り入れて溶かし、再び弱火でとろみがつくまで煮込みます。』」

「るう?」

「多分、このカレー粉のことじゃない?」

「………『品名 カレールウ』と書いてあるわ。」

「でも………どれ、入れるの?カレー粉いっぱいあるけど。」

 サキちゃんが指差した先には、レイが買ってきたカレー粉が5種類も転がっている。

「レイが今持ってる、そのバーモ○トカレーで良いんじゃない?それに書いて ある通りに作ってきたんだし。」

(※ 特別編その1『碇家の日常』より)

 

 

 

没6

>シンジ

 ………………

 ………………

『シンジ君、もう上がっていいわよ。』

「はい。」

 初号機とのシンクロテストに目を瞑って精神集中をしていた僕はリツコさんの言葉と同時に気を緩めた。

 

 

 

「あのリツコさん、初号機いつになったら直るんですか?」

 コーヒーを飲みながら(リツコさん愛用の猫柄マグカップで)なにやらデータの チェックをしているリツコさんに僕はずっと気になってる事を尋ねた。

 見た限りでは初号機は殆ど直っている様に思えた(少なくとも外見上は)。

「そうね………まだ、あと3週間近くは掛かるわね………」

「まだそんなに………ですか?」

 僕がそう思わず漏らすとリツコさんはギロッと睨んでくる。

「誰かさんがいっぱい無茶してくれたおかげよ。」

 あ、あの、そんなに殺気むんむんに言われると怖いんですけど。

「ま、まあ、先輩。シンジ君も悪気が合ってやったわけじゃないですし………」

 冷や汗をかいて立ち尽くす僕にマヤさんがフォローを入れてくれる。

(※ 没になった第九話『瞬間、心、重ねて』より)

 

 

 

 没7

>ミユウ

『本日午後3時58分15秒第七使徒甲と乙の攻撃により、エヴァ零号機弐号機共に活動停止』

 モニターには山に頭から突っ込んでいる弐号機と、海にうつぶせの状態で停止している零号機が映し出されている。

 ちなみにさっきから横の席ではレイと惣流さんが互いの手をつねろうと無言の攻防を繰り広げている。

(はあ………レイも惣流さんも何やってんだか………)

『午前11時03分をもってネルフは作戦遂行を断念。国連第二方面軍に指揮権を譲渡。 同05分、N2爆雷により目標を攻撃』

(また、ずいぶんと派手にやったな〜)

 モニターの場面が変わり、N2爆雷によって完全にクレーター化した地形の映像を見ながら内心そう呟く。

『目標の構成物質28%の焼却に成功』

(※ 第九話『瞬間、心、重ねて 前編』より)

 

 

 

没8

 私とサキちゃんがレイと合流してマンションに帰宅すると、ばったり惣流さんと遭遇した。

「アタシはモンスターかっ!?」

「ど、どうして、考えていることを………」

「ミユ、声に出てたよ………」

 うろたえる私にサキちゃんが冷たいツッコミを返してくる。

「まあ、それはいいとして………」

(※ 第九話『瞬間、心、重ねて 前編』より)

 

 

 

没9

「え、えっと………何を説明すればいいのかな?僕がネルフの実験場からいなくなった事?それとも………」

 僕は引きつった笑顔を貼り付けながら、相手の意図を確認する。

 僕の生存本能は緊急信号を発している―――

『ニゲロニゲロ、ドアヲアケロー』

 と。

(※ 第九話『瞬間、心、重ねて 後編』より)

 

 

 

没10

>シンジ

「―――――というわけなの」

「……………分裂した使徒に、綾波と惣流さんのユニゾンか」

 シンジ君、思いっきり顔ひきつらせてるね……………当たり前だけど。

「世に言う『みゆうちん、だいぴんち』って奴ね」

「きっぱり違うと思うけど」

(※ 第九話『瞬間、心、重ねて 後編』より)

 

 

 

没11

「あのね、アスカ、レイ。あなた達が沖縄へ修学旅行に行っている最中に, 第三新東京市に使徒が攻めて来たらどうするのよ」

「それがどうしたのよ!! レイ、言ってやんなさい!」

「………それはそれ。これはこれ

(※ 第拾話『マグマダイバー』より)

 

 

 

没12

ダダダダダダダダダダダンッ←踏み切り(笑)

 

「わーーーーーーーーーいっっっ♪」

 

バシャーン

 

 突如物凄い勢いで走ってきた人影が、プールサイドからジャンプし、プールの中程に着水する。

 僕とアスカは大きな水柱を呆然と見ている事しかできなかった。

「おにいちゃ〜ん、見てた〜〜〜?」

「サ、サキ!! プールに走って飛び込まない!!」

「む〜、何で〜?」

「危ないだろ! というか、4・5メートルも空を跳ぶのは止めてくれ! 心臓に悪いよ!」

(※ 第拾話『マグマダイバー』より)

 

 

 

没13

「おにいちゃ〜ん、見てた〜〜〜?」

「サキ〜! プールに走って飛び込まないっ!!」

「む〜、何で〜?」

「滑って転んだら危ないだろ! ただでさえ、プールサイドは水で濡れてるんだからっ!」

「………は〜い」

 そんな僕とサキとのやり取りを黙ってみていたアスカがポツリと呟く。

「あんた達………従兄妹っていうより、まるで親子ね」

「え゛?」

 石の塊になる僕。

「うんっ♪ だってボクとおにいちゃん、正真証明のおや……」

「メテオ・ストライ〜〜〜〜クッ!!」

 

がこんっ

ぷか〜

 

 僕がとっさに投げた端末を頭に受けたサキは、でっかいタンコブを作って水に死んだようにうつ伏せに浮ぶ。

「シ、シンジ?」

「あはっ♪ なんでもないよ♪」

 怯えたように話し掛けてくるアスカに僕はとっても偽善ちっくな微笑みを返した。

(※ 第拾話『マグマダイバー』より)

 

 

 

没14

>レイ

 心配だ。

 碇君が。

 心配だ。

 アスカが。

 そして、ちょっぴり心配だ。

 ………温泉が。

(※ 第拾話『マグマダイバー』より)

 

 

 



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